ガスレビューコラム

北海道を舞台に開発進むヘリウム気球による世界初の宇宙遊覧体験 価格はロケットの1/10以下 特別な訓練は不要

ヘリウムの浮力で、一般の人たちでも気軽に宇宙遊覧を体験できる取り組みが、北海道で進んでいる。江別市のベンチャー企業、岩谷技研(岩谷圭介社長)では、ヘリウム気球で〝成層圏〟まで上昇する『宇宙遊覧』事業をまもなく開始する予定だ。気球で成層圏まで上昇する商用フライトは世界初(同社調べ)の試みだ。

ヘリウム気球によるフライトは、ロケットに比べ、打ち上げ費用が1/10以下となるほか、人体にかかる負荷も小さく、乗員に特別な訓練は必要ない。これまでより圧倒的に気軽に、かつ誰でも宇宙を体感できるのが魅力である。

同事業のきっかけは2011年、当時北海道大学で宇宙工学を学んでいた岩谷社長が、海外の学生がガス風船に取り付けたカメラで宇宙空間の撮影に成功したというニュースに触発され、同様の挑戦を個人で始めたこと。卒業後の翌12年には日本で初めて上空30kmからの撮影に成功した。これが話題を呼び、16年に岩谷技研を設立。設立後は「カメラが見ている景色を自分の目で見たいと、成層圏まで上昇できる気球(高高度ガス気球)の研究開発をスタート、20年に有人宇宙遊覧事業を本格的に始動させた」。(同社)

気球といえば、バーナーで空気を温めて浮力を得る熱気球を思う浮かべる人も多いが、観光目的の熱気球は、通常高度数百m~1kmくらいまでしか上昇しない。一方、高度20kmに達する同社の気球は、空気よりも軽いガス、ヘリウムを封入することで浮力を得る。

現在、運航を予定しているパイロットと乗客が乗り込むキャビンは、直径約170㎝の二人乗り。材質はFRPで、軽量化を図っている。気密性が高く、人間がマスクなしでも生存できるよう、酸素供給などを行う生命維持装置を搭載している。
ヘリウムの浮力でゆっくりと上昇し、気球からガスを少しずつ抜くことで、ゆっくりと降下する。体にかかる負荷(G・重力加速度)は小さく、特別な訓練は不要である。

これまで試験フライトを有人で50回以上、無人で500回以上行ってきており、24年7月には有人試験フライトでは過去最高となる高度20kmに到達した。
次はいよいよ商用フライトである。同社によると既に3名のお客様との契約があり、気候など条件が整い次第運航したいとしている。
費用は、一人当たり2400万円(23年募集時点)。因みにロケットによる宇宙旅行だと、数十億円~数百億円掛かるとされている。

今後は事業拡大に向け、ハード面ではキャビンの大型化による乗客人数の増加や、離着陸拠点の拡大、海上でも回収できるようにする技術開発など行う。ソフト面では23年にローンチした同社主催の〝OPEN UNIVERSE PROJECT〟https://open-universe-project.jp/を軸に、様々な業種で共創をできるパートナー企業を募集しているという。

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